米スタンフォード大学などに所属する研究者らが発表した論文「A natural experiment on the effect of herpes zoster vaccination on dementia」は、 帯状疱疹ワクチン接種が認知症発症に与える影響に関する新たな研究報告だ。研究チームは、帯状疱疹ワクチン接種が 認知症の発症リスクを有意に低減させることを示す証拠を提示した。 ウェールズでは2013年9月1日から帯状疱疹ワクチン接種プログラムを始めた。1933年9月2日以降に生まれた人々が接種対象となり、 それ以前に生まれた人々は生涯にわたって接種対象外とされた。この明確な誕生日による区分を利用し、研究チームは 回帰不連続デザインという統計手法を用いて、大規模な電子健康記録を分析。28万2541人の成人を対象に実施した。 研究チームはまず、資格基準日のわずか1週間の違いによってワクチン接種率が0.01%から47.2%へと劇的に上昇することを確認した。 この接種率の違い以外に、誕生日がわずか1週間違うだけの集団間に系統的な差異は存在しないと考えられる。この状況を利用して 研究チームは、帯状疱疹ワクチン接種と認知症発症の間の因果関係を探った。 分析の結果、帯状疱疹ワクチンを接種した人々は、7年間の追跡期間において新たに認知症と診断される確率が3.5%ポイント減少したことが明らかになった。 これは接種していない人に比べて相対的には20.0%の減少に相当する。 特筆すべきは、この効果が男性よりも女性において顕著であったことだ。研究チームはイングランドとウェールズの 死亡証明書データを用いた別の分析でもこの結果を確認している。 研究チームは帯状疱疹ワクチン接種が認知症リスクを低減させるメカニズムについても探索的な分析を行った。考えられるメカニズムとしては、 水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化の減少を通じた経路と、ウイルスとは独立した免疫調節効果を通じた経路の両方を示唆した。 https://news.yahoo.co.jp/articles/9916acdbbc2452e44af13af6f00e7219f398606c